解体工事で家が揺れるのを放置すると危険|でも正しい対応でトラブルは防げる

隣で解体工事が始まって、家がガタガタ揺れる日々が続いている…。
地震みたいに揺れるたびに「うちは大丈夫なのかな」って不安になりますよね。
壁にヒビが入ったらどうしよう。
家が傾いたら誰が責任取ってくれるの。
そもそもこれって我慢するしかないの?
そんなモヤモヤした気持ち、すごくわかります。
でも実は、正しい知識と対応さえ知っていれば、家を守りながらトラブルも避けられるんです。
目次
解体工事で家が揺れるのはなぜ?その原因と「大丈夫」な範囲の目安

解体工事で家が揺れる原因は、重機が動くときの振動が地面を通じて伝わってくるからです。
特に、建物の基礎部分を壊すときや、地中深くに打ち込まれた鉄骨の支柱を引き抜くときには強い振動が発生しやすくなります。
地震のような揺れが発生しやすい解体作業と振動のメカニズム
解体工事で一番揺れを感じやすいのは、油圧ショベル(バックホウ)やブレーカーといった重機を使う作業です。
コンクリートをガンガン叩き壊したり、基礎部分を掘り起こしたりする作業では、その衝撃が地面を伝わって周囲に広がります。
振動が伝わる仕組みは大きく3つあります。
地盤を伝わる振動
重機の衝撃が地面を通じて伝わるパターン。
地面の中を伝わる波のうち、表面を伝わる「レイリー波」と呼ばれるものが一番影響が大きく、距離が離れてもなかなか弱まりません。
空気を伝わる振動
作業音そのものが空気を震わせて、窓ガラスなどをガタガタ揺らす現象です。
「ドドドドッ」という音と一緒に感じる揺れは、これが原因です。
建物が共振する振動
地面から伝わってきた振動の周期が、たまたま建物の揺れやすいリズムとピッタリ合ってしまうと、揺れが増幅されて大きく感じることがあります。
法律で定められた振動の基準値は75デシベルです。
これは「大勢の人が感じて、戸や障子がガタガタ揺れる」レベル。
基準値を継続的に超えると違法になりますが、瞬間的に超える程度なら許容範囲とされるケースが多いです。
📎 参考:
👉 環境省「振動規制法の概要」
構造上揺れやすいアパートや地盤の影響による振動の差
同じ解体工事でも、建物の構造や地盤によって揺れの感じ方は全然違います。
木造住宅は軽くて柔軟性がある反面、揺れを感じやすい構造です。
鉄骨造のアパートは、鉄筋コンクリート造に比べて重量が軽く、一度揺れ出すと細かい振動が長く続く傾向があります。
地盤の影響も大きいです。
沼地や埋立地、河川沿いなど、地盤が柔らかい場所では振動が増幅されやすく、硬い岩盤地帯の2倍近く揺れが大きくなることもあります。
傾斜地や崖の近くでは、振動が反射したり回り込んだりして、局所的に揺れが強まる可能性もあります。
建物にヒビが入る危険信号と今すぐ確認すべきチェックポイント
解体工事の振動で心配なのが、家にダメージが残らないかということ。
特に注意が必要なのは次のようなケースです。
| チェック項目 | 危険度 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 壁や天井のヒビ(0.3mm以上) | 高 | クラックスケールや定規で幅を測る |
| 窓やドアの開閉が固くなった | 中 | スムーズに開閉できるか試す |
| 床が傾いている感じがする | 高 | ビー玉を転がしてみる |
| 外壁のタイルやモルタルが浮いている | 中 | 指で押して浮きがないか確認 |
特に、基礎部分に0.3ミリ以上のヒビが入っている場合は要注意です。
📎 参考:
👉 国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」
(平成12年建設省告示第1653号)
これを「構造クラック」と呼び、建物の強度に影響する可能性があります。
内部の鉄筋が錆びたり、雨水が侵入したりする原因にもなります。
築年数が古い建物は特に注意が必要です。
築50年を超えるような建物は、もともと基礎が強固でなかったり、既に構造材が傷んでいたりすることが多いため、工事の振動で既存の傷が拡大するリスクが高まります。
工事で家が揺れるストレスへの対処法|クレームを入れるべき相談先

揺れがあまりにひどくて我慢できない、家にダメージが出そう…そんなときは適切な相手に冷静に伝えることが大切です。
挨拶なしで始まった場合や過度な振動への適切な伝え方
クレームを伝える相手には優先順位があります。
1. 施主(解体工事を依頼した人)
まずは工事の依頼主に伝えるのが一番スムーズです。
お金を払っている依頼主からの申し出なら、業者も無視できません。
「工事の振動で困っている」と具体的な状況を伝えましょう。
2. 解体業者の現場責任者
施主に連絡がつかない、または対応が遅い場合は、現場で実際に作業している業者に直接伝えます。
ただし、いきなり感情的に怒鳴り込むのはNG。冷静に事実を伝えることが大切です。
3. 自治体の環境課や建築指導課
施主や業者が誠実に対応してくれない場合は、市区町村の窓口に相談してください。
行政は基準値違反の確認や改善指導を行う権限を持っています。
具体的にクレームを入れていいのは、次のようなケースです。
- 振動が75デシベルを明らかに超えている
- 夜7時〜朝7時の時間帯に作業している
- 日曜日や祝日に工事をしている
- 連続6日を超えて作業が続いている
- 家具が転倒する、食器棚の物が落ちるほどの揺れ
- 睡眠障害や頭痛など体調不良が出ている
伝え方のコツは、感情的にならず事実をベースに話すこと。
「〇時〇分に、〇〇という作業で家がこれだけ揺れた」と具体的に伝えると、相手も対応しやすくなります。
可能であれば口頭だけでなく、いつ・誰に・どんな内容で伝えたかをメモに残しておきましょう。
将来的にトラブルが長引いた場合、「ちゃんと改善を求めた」という証拠になります。
解決しない場合の相談窓口は?役所や警察が動いてくれるケース
業者や施主に伝えても改善されない場合、頼れる窓口があります。
自治体が動いてくれるケース
- 振動が法律の基準値(75デシベル)を継続的に超えている
- 届出なしで工事が行われている
- 複数の住民から苦情が寄せられている
- 作業時間や曜日のルール違反がある
自治体に相談すると、職員が現場に来て測定したり、業者に改善勧告を出したりしてくれます。
警察が対応してくれるケース
警察は騒音・振動そのものより、「公共の安全確保」が目的です。
次のような場合は110番や警察相談ダイヤル(#9110)に連絡できます。
- 深夜に工事が強行されて安眠を妨害されている
- 工事車両の路上駐車が危険
- 現場から瓦礫が飛散して通行人に危害が及ぶ恐れがある
振動による体調不良や精神的な苦痛を感じたときの身の守り方
連日の振動で頭痛や不眠、イライラが止まらない…そんな症状が出ているなら、我慢せずに医師に相談してください。
医師の診断書があると、単なる不快感を超えた「身体への被害」として認められやすくなります。
診断書に「工事の騒音・振動によるストレスが原因で症状が悪化した」などの記載があれば、損害賠償請求(慰謝料など)の有力な根拠になります。
体調不良を感じたら、次のような記録も残しておきましょう。
- いつから症状が出始めたか
- どんな症状か(頭痛、不眠、食欲不振など)
- 病院を受診した日時と診断内容
- 処方された薬
精神的な限界を感じたら、無理せず家族や友人の家に一時避難することも考えてください。
自分の健康が何より大切です。
万が一に備える!工事の振動で家が壊れる前の証拠の残し方

トラブルを防ぐ一番の方法は、工事前の状態をしっかり記録しておくことです。
「工事のせいでヒビが入った」と主張しても、証拠がなければ「もともと傷んでいたんじゃないの?」と言われて泣き寝入りになってしまいます。
トラブルを防ぐためにスマホでできる家の中と外の現状記録
スマホがあれば誰でもできる記録方法を紹介します。
📸 工事前に撮影すべき場所
- 外壁の既存のひび割れ
- 基礎のクラックの有無
- 室内の壁紙(クロス)の皺や浮き
- 窓やドアの建て付け
- 隣家と接している側の壁
特に、基礎の立ち上がり部分は要チェックです。
目に見えにくい場所なので、懐中電灯で照らしながら撮影するといいです。
💡 撮影のコツ
- 日付・時刻を設定ONに 証拠として使うために、写真に日時が入るよう設定してください。
- 遠景→近景の順で撮る 建物全体の位置関係がわかる写真を撮ってから、損傷箇所の詳細を撮影します。
四方すべての角度から撮っておくと、後で役立ちます。 - 大きさがわかるように ヒビの大きさを比較するために、指を添えたり定規を当てたりして撮影します。
- 動画も活用 実際に家が揺れている様子を、音声付きで撮影しておくと、第三者への説明がしやすくなります。
「今、こんな感じで揺れてます」と解説しながら撮るのがおすすめです。
✍️ 工事中の記録
特に揺れが激しかった作業の内容、日時、その際の自宅内の状況(食器のガタつき、時計の遅れなど)をメモしておきましょう。
✔️ 工事後の確認
工事前と同じ箇所を再度撮影して、新たな損傷がないか、既存の傷が拡大していないかを比較します。
業者が撤収する前に確認するのが理想的です。
☝️ データの保管方法
- 撮影したままの形式で保存(改ざんを疑われないため)
- バックアップを複数の媒体に取る(クラウド、SDカード、パソコンなど)
- 紙のメモや書類はクリアファイルにまとめて時系列で整理
スマホアプリの振動計測は、あくまで「目安」として使ってください。
正式な証拠にするには、JIS規格を満たした測定器による専門家の調査が必要です。
ただし、アプリで高い数値が頻繁に出る記録があれば、専門家に調査を依頼する判断材料にはなります。
隣家との解体工事トラブルを回避するための補償と話し合いの進め方
万が一、家にダメージが出てしまった場合、どう対応すればいいのでしょうか。
☝️ 損害賠償が成立する条件
基本的に、解体業者の不注意で隣家に被害が出た場合、民法716条に基づいて解体業者が補償します。
ただし、因果関係の立証が最大の難関です。
📎 参考:
👉 民法第716条(注文者の責任)
「このヒビは工事の振動でできた」と証明するには、工事の内容、振動の大きさ、損傷の発生時期、建物の築年数などを総合的に示す必要があります。だからこそ、工事前の記録が重要なんです。
📝 補償交渉に必要な資料
- 修繕費用の見積書
- 医師の診断書(健康被害の場合)
- 工事工程表
- 自分で記録した写真・動画・メモ
- 事前の家屋調査報告書(あれば)
これらが揃っているほど、交渉で有利になります。
☝️ 話し合いの進め方
- 感情を抑えて事実を共有
「工事の大変さは理解しているが、現実にこのような被害が出ていて困っている」と冷静に伝えます。 - 現場確認を求める
施主と業者の両方を交えた三者会談の場を持ち、被害状況を一緒に確認してもらいます。 - 具体的な対策を提案
低振動型機械への変更、作業時間の調整など、実現可能な改善策を話し合います。 - 今後の補償について合意形成
補修の方法や費用負担について、書面で確認書を作成します。
🔥 火災保険は使えるのか
通常、解体工事の振動による「緩やかな進行」の傷は、火災保険の対象外です。
ただし、重機が接触した、廃材が飛んできたなど「突発的な事故」による損壊なら、賠償責任保険でカバーされる可能性があります。
契約内容を確認してみてください。
☝️ 当事者間で解決しない場合
話し合いが平行線を辿るなら、第三者の力を借りることを検討してください。
- 弁護士による法律相談
- 裁判所による民事調停
- 法務省認証の民間ADR(紛争解決手続)
感情的な対立が深まる前に、専門家の客観的な視点を取り入れることが、精神的な平穏と正当な権利を守る鍵です。
まとめ:解体工事で家が揺れる不安を解消して大切な住まいを守るために

適切な対応で家のひび割れリスクとストレスを最小限に抑えよう
隣の解体工事で家が揺れるのは、地面を伝わる振動や空気振動が原因で、ある程度は避けられない現象です。
でも、だからといって我慢し続ける必要はありません。
大切なのは次の3つです。
1. 正しい知識を持つこと
振動の法的基準は75デシベル、作業時間は朝7時〜夜7時、日曜・祝日は原則禁止。
これらの基準を知っていれば、正当に主張できます。
2. 証拠を残すこと
工事前・工事中・工事後の記録があれば、万が一トラブルになっても泣き寝入りせずに済みます。
スマホで写真や動画を撮るだけでも大きな効果があります。
3. 冷静に伝えること
感情的に怒鳴り込むのではなく、事実をベースに具体的な改善策を提案する。
これが近隣関係を壊さず、かつ自分の権利も守る最善の方法です。
家が揺れるストレスは、本当に精神的にきついものです。
でも、適切な対応をすれば、家も守れるし、トラブルも防げます。
不安を感じたら、一人で抱え込まずに、まずは施主や業者に伝える。
それでもダメなら自治体や専門家に相談する。
そうやって段階を踏んでいけば、必ず解決の道は開けます。
大切なのは、「我慢するしかない」と諦めないこと。
あなたの家を守る権利は、ちゃんとあるんですから。

